建築パラダイス

建築・不動産を中心とした情報や日記を発信します。

名建築ジャングル、銀座あるためのコンパス『銀座建築探訪』

今回ご紹介するのは藤森先生の銀座建築探訪
藤森先生こそが
正真正銘の「建築探偵」
リサーチがもはや変態の域です。


私がこの本を手に取った理由はシンプルに
勤めている事務所が銀座にあるから。


この手の特集は、
大判の建築写真と
スペックとディテールについてちょろっと
書かれているだけの場合が多いんですが、
そういったものとは比較になりません。


本書から学べること


この本から学べるポイント
・銀座の成り立ちについて
・銀座の名建築とその成り立ち
・建築の観察ポイント(他でも応用可)

 


⬜︎銀座の成り立ちについて


今となっては日本を代表する商店街の
銀座の始まりは、
明治6年の大火で燃えたあと、
当時の東京府知事由利公正が不燃化を目的に
煉瓦街計画を発案し、
イギリス人建築家のウォートルスが設計。
そして出来上がった煉瓦街は、
失敗だったとされている。
(知らなかったー)


ただ、藤森先生が今回本気で調べたところ、
府知事の考案はどうやら嘘らしいことが分かった。
大隈重信のもとに集まっていた
井上馨渋沢栄一らの
若手官僚によって考案されていたことが判明。
そして、失敗とされたのも
政府の計画したものにケチをつけたい民衆による評価で、
公正な評価ではないことも分かった。


むしろ、煉瓦や幅員が広がったことで、
そのあとの災害でも大きなダメージを負うことなく、
「財」が蓄積され、
現在まで発展することが出来たので
成功と言えるでしょう。

 


⬜︎銀座の名建築とその成り立ちー27件の藤森セレクトー
そのなかから印象深いものを紹介しようと思いましたが、
選べませーん。
藤森先生は特集した建築物のオーナーや設計者に
インタビューしているので、
内容が濃くて全部面白いんです。


全部ご紹介したいのですが、
ここでは個人的に特に印象に残ったものを紹介します。


・泰明小学校
銀座にも小学校があるんです。
有名みたいなので、知っている人も多いかも。
私も勤務が銀座のため存在は知ってはいました。


ただ、その小学校の誕生には、
アツい男、佐野利器
活躍があったことは知りませんでした。


佐野は内務省官僚とともに、
復興計画していたが、
計画は議会と市民のめちゃくちゃ反対をされ、
その官僚は断念。


でも、どうしても区画整理
道路網を充実と
地域の核としての「小学校」を作りたかった
佐野はその後も断固たる覚悟で
街頭でビラ撒き等の地道な活動を続け、
やっと実現までこぎつけた。


ここまでのストーリーもアツいが、
小学校の作りの部分にも、
佐野の思いが込めらている。


それは当時は全然普及していなくて、
数倍の費用が掛かるRC造にしたり、
当時、女子の躾教育に力をいれていた
教育局が設けた作法室を
これからは科学の時代がくるといって、
出来上がった作法室を壊して、
理科室を作ったりと
並並ならぬ思いが込められている。

 

 


⬜︎建築の観察ポイントについて


本書では筆者が現地を訪れ、
まずどこに焦点を当てて、
推察を繰り広げていくかが、
明確なので、
実際に他の建築を見る際にも役に立ちます。


銀座は本書発行からまた、
多くの建築が建てられています。


是非、本書片手に銀座を
探訪してみてはいかがでしょうか。

 


 

建築について勉強し始める人におすすめ『日本建築入門ー近代と伝統』

建築に興味はあるけど、何から読んだら良いか分からない人にオススメ
 
建築の名著には、複雑な言い回しだったり、予備知識がないと
難しい書籍も多いんですよね。
それで挫折しちゃうんですよね。
 
でも、今日紹介する本は、建築界の池上彰さんこと(私のなかで)、
五十嵐太郎先生の入門書です。
 
この本を読んで学べること
・日本における建築デザインのながれについて
・時代を代表する建築作品と建築家について 

 

日本建築入門 (ちくま新書)

日本建築入門 (ちくま新書)

 

 

 
簡単な流れを紹介すると以下の通り。
 
戦後の日本は、
西洋の列強と対等の姿を顕示しようと、
必死にパクった
 
ただ、ときに建築は文化や思想を反映させる象徴となるため、
国のシンボルになるような建築物については
パクリ建築ではいけません。
 
それで帝冠様式という、
西洋のボディに和風の屋根を合体させるプランが流行したんだって。
これは日本が上に立つという表現でもあった。
 
僕はこの時代のデザインを生もうとするエネルギー(葛藤)を
感じるから嫌いじゃないんだけど、
一部の建築おじさんから単純すぎるって
嫌われたみたい。厳しいー
 
そんなか、
上手に「融合」させたのが、
オリンピックの競技場として設計された
丹下健三「代々木体育館」
 
日本の伝統的なデザインを抽象化して、
民家の棟や神社の千木をイメージさせる
大きな屋根を掛けた。
 
当時のIOC
「選手の鼓舞に寄与した建築」としてベタ褒め
オリンピック・ディプロマ・オブ・メリット(特別功労賞)まで受賞 
 
丹下はこの屋根の成功に甘んじず、
その後も
香川県庁舎では軒下の垂木のような
デザインを展開させていきました。
 
 
 
本書では、そのあと勢力を増す
ポストモダニズム(簡略しすぎたら詰まんないよね派)や
国会議事堂のコンペについて等について、
紹介されています。
 
ある程度有名な建築物や建築家を
ご存知の方もながれを知ることで、
知識が数珠のように繋がる快感を味わえるかと思います。
 
気になる方は是非!

 

日本建築入門 (ちくま新書)

日本建築入門 (ちくま新書)

 

 

やっぱり建築が好きだった

どうも大学で建築を学び、

現在銀座を拠点とする不動産屋で働くサラリーマン、

ブロッコリー(寝起きの髪型由来)です。

 

学生時代に自分に自信が持てなく、

周りや時代の建築とはこうあるべきというものが、

私の好きなものとはずれていて、

そのズレがどんどん私から建築を遠ざけていった。

 

ある建築をみて、

YouTubeである人のインタビューを同時期にみて、

また建築意欲が再燃してブログを発起。

 

だれに忖度することもなく、

自由に建築・不動産についての記事を投稿していきます。